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言葉の風
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海のないみなとみらい

横浜には「みなとみらい」という、
ウォーターフロント計画の一環としてバブル期にプロジェクトされた
都市開発地区がある。
ここを夏に訪れれば太陽の灼熱に焼かれ
冬なら寒風に吹き飛ばされそうになる。
歩くことに苦痛を感じるエリアだ。
商業性と美観だけを優先して築かれた白亜のコンクリート地帯なのである。
駅を降りて、ひたすら歩かされ、
その果てにあるのはショップ、ショップ、ショップ。
買う、喰う、時間をつぶすための施設が口を大きくあけて待っている。
カネを使わせようとする導線に沿って、
ひとは魚の群れのように追い込まれていく。
そんな回遊コースをはずれて、大通りを行くと、
今度はゴーストタウンがひろがる。
殺風景なビルの隣は空き地、その前も空き地、その後ろも空き地。
どどーんと空き地である。
高層の集合住宅がベイサイドにそそり立つが、
暮らしの匂いがまったくない。
洗濯物が風になびくという光景は許されないのだろうか、
部屋の窓は密閉されている。
オフィスビルのような住戸だ。
フェンスで囲まれた幼児の遊技場には、
ほうり投げられたように置かれたジャングルジムにすべり台。
もちろんそんなミニゲットーのなかにはだれもいない。
臨港パークに行き着くと、やっとひとごこちつけた。
芝生をみて、命を感じるほどに周辺には自然がなかったのだ。
ふと、鼻先をなまぐさい匂いがかすめ、はっとする。
潮の匂いだった。
視覚的には目の前に海があったのだが、海という存在は欠落していた。
海を前に潮の匂いに意表をつかれたのは、はじめてだ。

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