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言葉の風
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怪獣2体

樹は、その姿かたちからマジシャンのように
なにものかを浮かび上がらせてくれる。
大抵、この世に存在しない生きものだ。
ゆえに、見えるひとには見えるが、
見えないひとには見えない。
存在しないものを見るのだから、
それは頭やこころの領域で生みだされる、
そのひとの固有の存在ということになる。
岩のように長くおなじ形象でこの世界にとどまるものは、
「夫婦岩(めおといわ)」の例のように、
なんらかのシンボル性や物語を付与されて、
多くのひとに認知されることもある。
屋久島の森を歩いたとき、
次々とあらわれる怪異なものたちに飽きることがなかった。
ねじり合い、からみあった樹齢千年以上の杉、
赤子のように表面がつるつるしたヒメシャラ、
苔むした倒木、ひこばえの木。それらから浮かび上がる、
いきいきとした"ものども"のすがた、表情。
かぎりなく寓話が創れそうな気がした。
厚木インターの近く、
東名高速のすぐ脇にわずかに残された縄文、弥生時代の遺跡があった。
たまたま通りかかり、吸い寄せられるようにその場に入った。
そばを走り抜けるクルマの音もなぜか気にならない。
だれもいない静かな空間だった。
大きな樹が立っていおり、その根元になにかの気配を感じた。
近づくと、ちいさな怪獣が2体、興味深そうな表情で
こちらをのぞき込んできた。
見つけてくれたのを喜んでいると思っている、
自分がいる。

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