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言葉の風
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はじまりのものがたり

神田駿河台下の丸善で何年か前に洋書の絵本を買った。
バーゲンでワゴンに積みかさなった山のなかから選び出したのは
Gerald Mcdermott: CREATION という本だった。
がっちりとした造りで、表紙も本文もブラックをベースとした
格調高いトーンの本だった。
なにもない世界から、森羅万象が生まれていくさまを
簡潔な言葉でつづっている。
中学1年生程度の英語能力でも読める内容だ。
絵には遠近感がなく、世界にあらわれてきた生きものたちは
大理石に埋まったカラフルな化石のようだ。
それとは対象的に言葉の世界はパースペクティブで深遠だ。
 
I was before time.
I was everywhere.
There was nothing.
I was there.
My spirit moved over the deep.
I floated in darkness.
.......
 
わたしは時間の生まれる前からいたのです。
どこにでもわたしはいて
そこにはなにもなく
それこそがわたしの姿だったのです。
底の底から生気は立ちのぼり
わたしは暗やみのなかを漂いました。
 
それからわたしは
闇のなかにひかりを吹き込んだのです。
ひかりは昼となり
闇は夜となりました。
 
霧はふたつに分かたれました。
ひとつはあまく ひとつはしょっからく
高いところの水となり
低いところの水となりました。
そのあいだに天があったのです。
 
わたしは低いところの水を集めました。
そして海をつくったのです。
海の上には
陸をつれてきました。
 
陸の上には
牧草と野草を
種と球根を
花々と樹木を持ちこみました。
もちろん果実も。
 
わたしは輝くひかりを
天に投げ入れました。
 
巨きなひかりは太陽です。
小さなひかりは月です。
いちばん小さなひかりは星々なのです。
 
太陽と月と星は
めぐる季節を教えてくれます。
 
天と地のあいだで
鳥たちのつばさに乗り
 
わたしの生気は舞い上がりました。
 
世界は生まれ来るものたちで
いっぱいになりました。
 
そのものたちは
海を泳ぎました。
草原に群れをなしました。
地上をかっぽしました。
・・・・・・
 
中学生ほどの英語力も消えた能力なので、
失笑を買うところもあるかもしれない。
考えるまでもなく、英語圏には日本の何倍もの絵本があるはずだ。
まだ紹介されていない宝のような本は山とあるだろう。
もちろん絵本だけ、英語圏だけの話しではない。
ときにドメスティックな環境を離れてみると
あわただしい情報から解放されるかもしれない。
新しいものだけが宝ではないのだから。

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