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言葉の風
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天と地のあいだの透明な柱

近所にある茅ヶ崎城趾をはじめて訪ねた。
築城の歴史は鎌倉時代まで遡る。
高い土塁、深い空堀が残り、
山は陰影に富む、戦いのための構造体に
すっかり変えられてしまったらしい。
「ここから敵の背にむけて矢を放った」
案内板がだれもいない道脇に立てられている。
そこから北西に500メートルほど離れた丘に弥生時代の遺構がある。
大塚・歳勝土遺跡公園内には、
「環濠(かんごう)」と呼ばれる堀がいまもそのかたちを留める。
余った米や食料を倉に蓄えはじめた頃より、
持つもの、持たざるものたちの間でいさかいが起こり、
集落には環濠がほられ、木の柵がはりめぐらされた。
さらにそこから北西に1キロほど離れたところに、
縄文時代の土器が出土した小山がある。
人々がそこに暮らしていた時代は2万年前にも遡る。
拒むものも、阻むものもない。
なだらかで、のどかな山だ。
ただ、ここの頂きをめざす道の途中、
天と地のあいだに太い一本の透明な柱が立っているような感覚にとらわれる。
西南側からの坂道を上るたびに、かならず覚える不思議な感覚だ。
それとまったく同じ感覚を伊勢神宮の遷宮の地にも感じたことがある。
なんといえばいいのだろう・・・
光りの滝を眺めているような、清浄感というのか、
とにかく、はれやかな気持ちになることはたしかだ。
戦国時代の城趾にはつめたい風だけが吹いていた。

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