ウェブマガジン「この惑星(このほし)」 > 星ぼしブログ > 言葉の風

言葉の風
100222.jpg

「陰影礼賛 」雛飾り

町家にしても、名主、庄屋の屋敷にしても
日本の伝統家屋の空間には暗がりが多い。
近所に大きな古民家がある。
いまでこそ一帯は、広大なベッドタウンとなったが、
もともとは、谷戸(やと)を開墾した農村地帯だ。
古民家は、地主さんだった方が寄贈したものらしい。
風格があり、いつ行っても玄関をくぐれば、
ひやりとした空気感に包まれる。
そして、高い天井から闇が降りてきたように
目の前が一瞬でまっくらとなる。
屋外の晴天を遮断するような室内だ。
その古民家で「ひな祭り」の飾りを展示しているというので
家族で出かけてみた。
入口近くから奥の間にかけて、
平成、昭和、大正、明治とりっぱな雛壇、雛人形が飾れている。
部屋の梁には「つるし雛」と呼ばれる飾りつけも行われて、
空間全体が艶やかな迎え方をしてくれる。
スポットライトを当てられてはいても
屋敷の暗がりはそうそう消えない。
「陰影礼賛」ではないが、
暗がりがあってこその雛人形かな、と思う。
生きているようにはみえるわけではないが、
人形の持つ、人形の生気が伝わってくる。
すべてが揃えられた雛壇飾りをみていると、
完結された小宇宙のような世界に引き込まれる感じがする。
これも日本家屋の陰影があってこそ。
「つるし飾り」にいたっては、
宇宙空間に浮かんだ遊星と惑星のようだ。

カテゴリ:

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://konohoshi.jp/mt/mt-tb.cgi/195

コメントする