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言葉の風
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原稿は夜つくられる

朝、プールでひと泳ぎしてから
仕事部屋のあるマンションへ行き、
そこで日中、日が暮れるまで原稿を書いている。
もう、何年も前のことだが、
村上春樹さんは、そんなスタイルで執筆をしていると、
なにかで読んだ。
いまはどうかはわからない。
そういえば、なんとなく、
春樹文学は、昼の匂いがする文章だ。
中上健次の作品などは、漆黒から曙光のはざま、
深夜から朝方にかけて生まれてくるような気がするが、
そんなものは勝手なイメージにすぎない。
作家たちへのアンケートというものを目にしたことがある。
執筆時間は、夜型が多かったように記憶する。
なかには夜の7時から9時までのあいだが、
もっともインスピレーションが高まると断言していた方もいた。
その時間帯は、晩酌の時間、もしくは宴がはじまる時間でもある。
もちろん、一般的なはなしだが。
一日のうちでこんな大事な時間に仕事をするとは、
不憫な人だと思ったりした。
「この惑星」をスタートしてから、プロの作家でもなんでもないのに、
また、書いてくれと、だれかに頼まれているわけでもないのに、
原稿書きに追われる不思議な日々がつづいている。
それはともかく、いちばん、執筆に集中でき、ノリが出てくる時間なのだが、
「不憫な人」がいっていた、
夜7時から9時にかけて、であることに最近、気がついた。
朝、まだだれも起きていない朝ならば、
体調さえ良ければ書ける。
ただ、昼間の時間はぜんぜんいけない。
よほど追いつめられていなければ書けない。
結局、書かなくてはならないという荷物を背負いながら、
一歩も外へ出られず、また書けもせずに、
悶々、ダラダラとした時間を過ごすはめになる。
せっついてくれる編集者もいなければ、
ギャラを振り込んでくれるクライアントもいない。
たとえれば、
尻を叩かれながら走る馬であると同時に、
尻を叩きつづける騎手の合体である。
賞金も栄誉もなにもないが、ゴールだけはある。
そのゴールをきったときの快感だけはあるようだ。

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