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言葉の風
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温泉は「地」のエネルギー

来週公開の特集「世紀を越える旅人 ななおさかき」の原稿を
なんとか仕上げ、校正へ回した昨日、
近所の温泉へ湯に浸りに行った。
今はやりの都市型温泉施設だが、
一応、源泉掛け流しという。
湯の色は琥珀色で、味は塩辛く、匂いは喩えようもないが、
イオウのようなきついものではない。
温泉ファンでもなんでもないが、これまで、
秘境の湯や魅力的な温泉に浸かる機会が少なくなかった。
若い頃は山登りのついでに寄ることもあった。
岩手山の網張温泉、安達太良山の岳温泉、
真冬に奥鬼怒の八丁の湯まで向かったこともあった。
若さゆえか、湯のチカラなどなにも感じなかった。
わかるのは熱いか、ぬるいかだけ。
いちばん熱い湯の記憶は、信州の渋温泉だったか。
ぬるめの湯でとろけるような気分になったのは、
伊豆稲取温泉、金谷旅館の湯。
温泉の味わいを覚えるようになったのは、
たぶん40代に入ってからだろう、
宮沢賢治「なめとこ山の熊」の舞台となった山麓近くの
新鉛温泉も鄙びたいい宿だった。
3日間、ひとりをぽつねんと湯船に浮かび続けた。
京都市郊外、北白川のラジウム鉱泉はちいさな湯だったが、
仙人、白幽子伝説の地だけあって、霊験あらたかな力を授かった気がした。
その湯を使った京料理がサイコーに美味しかった。
鹿児島県南端の指宿温泉の砂風呂は、いまひとつピンと来なかったが、
錦江湾に面した垂水の銭湯料金で入った温泉の湯は、
これまでで一番、身も心も満たされた。
床や脱衣場は掃除もろくすっぽされていない、
汚い銭湯だったが、お湯だけはすばらしかった。
そこを出て砂浜を歩きながら見た桜島もまた格別だった。
温泉は地のエネルギーが姿を変えたものだ。
成分や効能をとりあえず見たりはするが、
あまり気にしない、それよりも
その地、その湯との相性のほうを気にかける。
そういえば、垂水で採取された水を長く飲んでいる。

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