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言葉の風
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OH! TUNAMI

南米チリで起きた巨大地震により、
2月28日朝、大津波警報が発表された。
予測される波の高さは関東沿岸で2メートル前後、
実家のある仙台では3メートルに達するという。
3メートル・・・微妙な数値ではある。
30~60センチ程度の津波ならよく観測され、
ほとんど影響はなかったはずだ。
2004年、スマトラ沖で発生した大津波は2~30メートルだった。
それを考えれば大したことないと、頭をよぎったが、
やはり、ただごとではないと直感した。
仙台湾に位置する深沼というきれいな海岸を頭に浮かべた。
そこに3メートルの波が打ち寄せてくる。
視界に入る海岸線、すべてにわたって海がふくれあがる。
堤防を越え、すぐそばまで建った家々が、あれよあれよという間に
水に没していく。音入りのイメージではなかったが、
実際、阿鼻叫喚もなく、
静かに事態は遂行されるのでは、と思ったりした。
実家は海からだいぶ離れた高台にある家なので、
問題はないと思ったが、電話を入れた。
ところが、こちらの声の調子が悪かったらしく、
母親からは風邪でも引いたのではないかと、
逆に心配される始末。
津波警報はテレビをみて知ってはいるが、
それがどうしたんだと、言わんばかり。
まあ、家にいるかぎり、波にのみ込まれることはないだろうが、
海岸近くには知り合いがいるかもしれないし、
実際、親戚の家の多くは海に近い。
泰然自若としているのが、じつに奇異に感じた。
結果として、最大で1.2メートルの津波が観測されて、
幸い人的被害はでなかった。
気象庁が過大な予測だったと詫びたとのこと。
たしかに発表の精度を高めていく課題は残されたが、
それよりも、避難勧告に従わなかった人が少なくなかったことのほうが
問題だと思った。というか驚いた。
また、避難はしたものの第1波の規模が小さかったので、
すぐに自宅へ帰ったりした人も相当数いたらしい。
南海フェリーでは、避難勧告が出ているなか、220人の客を乗せて
フェリーを出港させていたという。
たまたま、その日、日経新聞の読書欄で、
『生き残る判断 生き残れない判断』(アマンダ・リプリー著)という
本が紹介されていた。
9.11同時テロ、大火災、墜落事故、無差別殺傷事件に巻き込まれながら、
奇跡的に助かった人たちに取材し、
いかに危機的状況から逃れられたのかを聞き出した内容のようである。
異常があっても何事もないように思う人間の心理、
災害心理学では「否認」という心の動きらしいが、
その「否認」から一刻も早く抜け出た人が生き延びた、という。
本の紹介を紹介するので心許ないが、
まさか・・・自分が、まさか・・・こんな場所で、まさか・・・こんな時に・・・。
天災も人災も、だいたいがそのまさかのなかに姿をあらわす。
「否認」を「否認」する。
たしかにこれはある。

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