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言葉の風
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『インパラの朝』著者、中村安希さん

きょうは集英社で中村安希(なかむら・あき)さんの取材があった。
中村さんは、第七回開高健ノンフィクション賞を受賞し、
昨年11月に、その受賞作を『インパラの朝』として上梓した。
26歳の時、中村さんは、日本を発ち、中国、インド、パキスタン、シリア、
エチオピア、ガーナ、ウガンダなど、ユーラシア・アフリカ大陸の国々47カ国を
約2年間かけて旅をした。
そのとき、ノートパソコンから発信していた
ブログをまとめたものが受賞作となった。
貧困、政情不安、軍事独裁、テロの危険という治安状況の極めて悪い国々を
若い女性がひとり旅をする。
そうとうの強者かと思っていたら、会えば、
スラリとした色白のうつくしい女性。
本の帯の写真はクールな構えだが、実際はたおやか。
話し方もおっとりとしている。
なるほど、京都生まれだなと、合点してしまう。
『インパラの朝』を読むと、
旅の途上に、さまざまな人が、次から次へとあらわれ、
いろんなことが起こる。
極貧の旅をしていても、お金を騙し取ろう、
むしり取ろうという輩は絶えない。
それだけ第三世界は貧しい状況にあるのだ。
南京虫に体中喰われて発狂しそうになったり、
食あたりで下痢が止まらない日々がつづく。
ときにシュラフで野宿をしなければならない。
高熱を出しても病院などどこにもない。
強盗に襲われ、殴られたこともあった。
じつに過酷な旅だ。
しかし、それ以上に、その貧しい地域、
閉ざされた世界、危険な国々といわれている場所に暮らしている人たちが
彼女にみせた、やさしさ、あたたかさ、素朴さが深く胸に残る。
中村さんのまた行きたい国の筆頭は、パキスタンだという。
パキスタンは、渡航を避けるべき国のトップグループに属する。
しかし、そこには、そこだけにある人のすばらしさがひそんでいるという。
『インパラの朝』という本に満ちているすばらしさもそこにある。
そこかしこにある人間という存在の救いといったらいいのだろうか。
世界はまだまだ捨てたもんじゃない。
この本を読んで元気になってしまった。
ステレオタイプな情報からは流れてこない、
バックパッカーからの"地をにじり歩んだ"発信がある。
中村安希さんの取材記事は、
「今月の作家」にて近日公開予定。
どうぞ、お楽しみに。

インタビューはこちら
今月の作家vol.5 中村安希さん 『インパラの朝』(2010年4月8日公開)
http://konohoshi.jp/book/100408/

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