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言葉の風
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野毛のクジャクと大道芸

ヨコハマには野毛山というちょっと変わった場所がある。
高台には市の中央図書館や動物園に公園、
港湾方向を眺める眺望所などがあり、
麓には居酒屋やバーなどの飲み屋が密集する。
「みなとみらい」という都市開発から免れた、
人の匂いのするエリアだ。
山の上では、ソメイヨシノの老木が花を散らし、
ひさしぶりの好天に老若男女がのびのびと花見に浸っている。
動物園の脇道を歩いていたら、
放し飼いにされているクジャクと遭遇した。
目の前にひるがえった緑色の羽のうつくしいこと。
つやつやしている。
邪を払う鳥とか天使の化身ともいわれるが、
たしか、アジアのある地域では「悪魔」とも呼ばれていたと記憶する。
甲高い独特の鳴き声が厭われていたと思った。
黙っていれば、顔も美形。しぐさも愛らしい。
本日は、桜色よりもこのクジャクの色彩が目に映えた。
夜、山の下にひろがる飲み屋街に足を運んだことはまだない。
日中、静まりかえった小路を何回か徘徊している。
一国一城的な店構えがならび、その間を歩くだけでもなんとなく楽しい。
夜の扉のむこうに主の姿、そして、
酔客の表情までが、まぶたに浮かんでくるから面白い。
それにしてもなかなかの規模だ。
しかも、キャバクラや風俗、ゲームセンターなどが混在した歓楽街ではない。
純粋な酒場が主体となった街である。
ここにはかつて『ハマ野毛』というタウン誌が発行されていて、
評論家の平岡正明や作家で地元出身の荻野アンナ、梁石日、
異端文学研究の種村季弘、歌手の三波春夫など錚々たる顔ぶれが寄稿していた。
平岡氏が実行委員を務めた「野毛大道芸」も名物イベントになっている。
今年で36回目を迎える。
あちこちにポスターが貼られていた。
大道芸は、野毛の一部になっているようだ。
今月の24日、25日に開催される。
最寄り駅、桜木町の向こうへと回れば
「みなとみらい」がきらきらとした表情で消費者を待ちかまえている。
別天地の景色だ。しかし、歩き、呑み、物思いに耽るには、
野毛の山がいいに決まっている。

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