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言葉の風
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象を倒し食べる人たち

横たわったゾウに人々が群がっている。
空き缶でつくったナイフ、そして素手によって皮をはがされた真っ赤な巨体。
血の山に押し寄せた人たちは、我先にとその肉を引き裂き、引きちぎる。
なかには待ちきれなくて、そのまま生の肉片を口に放り込む者もいる。
アフリカ・ジンバブエで撮影された一コマだ。
つぎの写真では、ゾウはがらんどうの骨と化している。
解体されてから2時間後の姿だという。
つぎの写真では、骨一つ残っていないまっさらな地面。
翌日にはきれいさっぱりなにもない。
すべて飢えた村人に食べ尽くされてしまったのだ。
東京都写真美術館で『2010世界報道写真展』をみてきた。
目を覆いたくなる悲惨な映像が少なくない。
イスラエルの報復攻撃により、
地面に頭だけ出して息絶えたパレスチナ自治区の幼女。
イスラム武装集団によって石打の刑に処せられたソマリアの男。
集団は笑顔までにじませている。不倫の科(とが)だという。
頭が欠けた月のようにきれいに吹き飛ばされた
アメリカ兵の後ろ姿(脳の40%を失ったが一命は取り留めた)。
強いて無感情にみる。
そうしないと、正視できない。
それでも、ここに来てよかったと思った。
悲惨や愚行になにができるというわけでもないが、
少なくともこれら事実の一コマをみる機会を得てよかったと。
たしかにありふれた悲劇の場面となったものもある。
しかし、30年、40年前のことではない、
この1年のなかで間違いなくこの世界で起こった出来事なのである。
ただ単に写し撮られた過去の一瞬ではない、
未来をも語るシーンなのだ。
日本が、東京が、自分のいる場所が
荒涼とした砂漠のなかの一点のオアシスのように感じた。

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