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言葉の風
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真夏、海、バス

逗子駅前から出たバスは商店街を抜け、
黒い川を越えたり、黒い川に沿ったりしながら
海岸通りへとむかっていく。
エアコンを最大限にしているのか、
通気口から吐き気がするほど冷風が頭に吹きつけてくるが、
バスは太陽に容赦なくあぶられ、満員の車内に人いきれが充満する。
沿道にはビーチサンダルをずらりと並べた売店。
浮き輪も軒先に所狭しとぶら下がって、
何かしら夏休みが永遠に続きそうなムード。
砂浜でバーベキューパーティをするのか、
スーパーの袋にめいっぱいの食材をつめこんだ若者グループ。
汗も瞳もキラキラしている。
クーラーボックスがガチンと床に座り込む。
やがてネコの額のようなちいさな浜が車窓に現れては消えていく。
「葉山マリーナ」を過ぎたあたりから乗客は半分に減る。
車内は肌のしろい人々に占められる。
海にじっと目をこらすと、思ったほど汚れてはいない。
いや透明だ。ブラックサンドでもない。
でも、どこかの庭のような海辺。
襲いかかってくる日差しと冷房、そして、
だるい肉にねむい頭。
この現象、夏ゆえに許せる。
夏は苦痛も郷愁のひとつ。
けれど、この苦痛、年ごとに新鮮になるようだ。
岬へむかい、岬をはなれ、バスはうねうねと走る。

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