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Today's Shot / 言葉の風

2009年06月14日
Today's Shot
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言葉の風

まだ、夜が明けたばかり・・・。
鳥の鳴き声がすさまじい。
尾長、鵯、四十雀、河原鶸、椋鳥、鶯、雲雀・・・。
毎朝、競い合うように森のなかで大合唱が湧き起こる。
ふと、気づいた。これだけの鳴き声に、
一度もうるさいと感じたことがない。
ああ、いっぱい来ているな、にぎやかだな。
みんな元気だな。
そんな言葉が浮かんでいるかどうか、別として、
不快に感じたことはない。むしろ気持ちいい。
鳥の“心の世界”に迫った本『もの思う鳥たち』のなかで、
「鳥たちは・・・歌うことに喜びを覚え、となり合うなわばりに棲む
ライバルたちの歌ですら、時には楽しんで聞く。
・・・ひたすら幸せだから歌うということもある。」とあった。
まどろみの刹那、
朝の光が枕元に差し込むなかで聞く囀りは、
至福以外のなにものでもない。
それが休日であれば、なお、素晴らしい。

see you tomorrow!

「もの思う鳥たち―鳥類の知られざる人間性 (いのちと環境ライブラリー)」
セオドア・ゼノフォン・ハーバー著 笠原敏雄訳 (日本教文社)


2009年06月13日
Today's Shot
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言葉の風

「パンの焼けるうまそうな音にきき惚れて、
 おやじさんは、にっこりほほえんで、
 若いころのはやり唄を、鼻でうたいだす。
 子供たちはしゃがんだまま、身じろぎ一つするものはない。」
 19世紀の詩人アルチュール・ランボーの詩、
 「びっくりしている子供たち」の一節だ。
 この10年ほどのあいだに、
東京近辺ではパン屋さんが急増したように思える。
それも「びっくり」するほどおいしいパンを焼いてくれる。
かつて天然酵母のパンなどは、ごく限られた店でしか
手に入らなかった。
いま「天然酵母」は、ショップ名よりも大事な
看板となっている。
イースト菌は、第一次世界大戦のドイツで開発されたという。
発酵時間が極端に短く、大量生産に叶う。
同じ発酵品である日本酒も太平洋戦争中に劣悪なものとなった。
純米酒を飲めるようになったのはここ20年ぐらいのこと。
天然酵母パンは、発酵に時間をかけた昔ながらの製法によるものなのだ。
時間がない現代人は、発酵食品という「時間」がつくった
エネルギーをわけてもらうのがいいかもしれない。

see you tomorrow!

出典:「ランボー詩集」金子光晴訳 (角川文庫)


2009年06月12日
Today's Shot
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言葉の風

ウシガエルの鳴き声が響く季節になる。
都会で暮らしているときは、
クルマの騒音の合間に聞こえてくるその鳴き声を
数少ない自然の恵みとも、風流とも感じていた。しかし、
この生きもの、じつは外来種で、
防除の緊急度のきわめて高いランクAに指定されている。
90年ほど前に北アメリカから食用に移入されたらしい。
日本最大のカエルで、かなり貪欲、いや健啖家というか
口に入る物であれば、昆虫、ほ乳類、魚類、鳥類を問わず
食するとのこと。
それを知るとあの重低音がにわかに恐ろしくなってくる。
ランクAにはそのほかにもアライグマ、ハクビシン、
キョン、カミツキガメなどが入っている。
1980年代に持ち込まれたアカゲザルについては、
すでにニホンザルとの交雑が確認されて
危機的な状況にあるという。
これらの生きものが悪いわけでもなんでもない。
人が勝手な都合で持ち込んだものだ。
駆除は悪である。悪を選択しなければならないのが
いまの状況だ。それをやめるためには
持ち込まないことしかない。

see you tomorrow!


2009年06月11日
Today's Shot
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言葉の風

月周回衛星「かぐや(SELENE)」が、
本日未明、月面に衝突し、その役目を終えた。
「満地球の出」では、灰色の地平線から
深海の生きもののように
まっくろな空間を昇り上がる地球の姿を
息を詰めて見守った。
何度見てもあきない映像だ。
この惑星には、1000万種とも、
3000万種ともいわれる生物が
乗船している。
船長は太陽系の物理法則だ。
われわれ人間は、種のなかの一乗客にすぎない。
「地球生命体−ガイア」という概念が生まれたのは
大気圏外から地球を俯瞰する視点が
人類に与えられたゆえだ。
宇宙からの視座という文明の革命的な進歩と
時を一にして地球環境のきびしい状況が
明らかにされていく。
かぐやのハイビジョン映像は別格に美しいものだ。
この映像がこれから、とくに若い人たちの意識や無意識に
与える影響は決して少なくないだろう。
いずれ、彼らが月面に飛び散ったわれらのヒロインを
後片付けに行くことだろう。

see you tomorrow!


2009年06月10日
Today's Shot
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夕方、家へ帰ろうと住宅街のなかを歩いていると
けわしい目をした4人の男たちと遭遇した。
一瞬、目をそらそうかどうしようかと逡巡したが、
しっかりと男たちをみつめた。
目と目は合ったものの火花が散ることはなかった。
黄色いジャケットに銀色の反射帯、
パトロール中と書かれた腕章をつけている。
いわゆる「町内自警団」の人たちだ。
彼らの緊迫した表情から察するに
最近、空き巣か何かしらの事件があったのだろう。
隣近所のコミュニケーションに乏しい地区の
犯罪率は高いと聞く。
声かけも防犯には有効だ。
「奈良町」を歩いていたときのことだ。
夕闇のたれこめる曲がり角や辻で、
おばちゃんたちの立ち話をよく見かけた。
大きな明るい声がよく響きわたる。
なつかしいなあ、と思うとともに
ほっとさせる安心感があった。
少なくともおばちゃんたちの近辺には
犯罪の影が忍び寄ることはないだろう。
外の警戒も必要かもしれないが、
内なる親和のほうが大切だ。

see you tomorrow!


2009年06月09日
Today's Shot
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言葉の風

『ちいさいおうち』という絵本がある。
名作中の名作なので
知る人も多いだろう。
太陽が昇り、沈み。
星が輝き、月が満ち欠けする。
日々のなにげない変化と季節の移ろいを楽しめる、
牧歌的な土地に建つ家。
やがて近くにコールタールの道路が敷かれ、
自動車が走り出し、
まわりにたくさんの家が建ちはじめる。
それからはアパートや公団住宅や駐車場・・・
ありとあらゆる文明的なものが家のまわりを
取り囲んでいく。
高架線やビルディイング、地下鉄・・・
どんどんどんどん、「ちいさなおうち」が
埋もれそうになるほどだ。
自分の愛した土地が都会となってしまったことを
嘆くが、やがて人の力もあって
「ちいさなおうち」は、いなかへと引っ越していく。
そんなストーリーだ。
「ちいさなおうちは」しあわせになれたが、
文明は引っ越すわけにはいかない。
できることは脱皮だけだ。
まずは、脱炭素化社会をめざす。
本格的な電気自動車が続々と開発されてきた。

see you tomorrow!

『ちいさいおうち』
バージニア・リー・バートン文・絵 石井桃子訳 (岩波書店)


2009年06月08日
Today's Shot
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言葉の風

日曜朝、NHK総合で「課外授業」という番組が
放映されている。芸能人や文化人、
スポーツ選手などが母校の小学校で教壇に立ち、
授業を行うという内容だ。
いつもと違う授業にはじめとまどうが、
次第に目を輝かせて課題に没頭してい子どもたち姿が
この番組のキモとなっている。
いま、学校は不審者を怖れて固く門を閉ざしている。
でも、昔から学校というものは
そうした物理的な門だけでなく、
社会に対して門を閉ざしている。
学校は、社会や地域との接点をもっと増やすべきだ。
「課外授業」はパターン化された時間割に
新鮮な生きた学びの風を吹き込む。
著名人でなくとも、現役で働いている人たち、
あるいはリタイアした人たちを学校に招き、
社会での実経験に基づいた個性的な授業を
プログラムしてみてはどうだろう。
すでに実施している学校もあるだろうが、
もっと、増やす。根づかせるべきだ。
数々の不幸な事件が、
子どもと大人のあいだに壁をつくった。
大人への不信、社会に対する怖れ・・・。
いまだからこそ、門をひらくべきだ。

see you tomorrow!


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