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Today's Shot / 言葉の風

2009年07月19日
Today's Shot
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言葉の風

北海道大雪山系で起きた遭難は、
登山客10名の死者を出した。
夏山の悪天候による遭難として、
過去最悪の規模という。
17歳の夏、岩手山で遭難しかけたことがあった。
山頂付近ですさまじい暴風雨に巻き込まれたのだ。
地面に伏せても引きはがされほどの強風、
隣で大声を出しても何も聞きとれない。
全員、腰にロープを巻きつけ数珠つなぎとなり、
匍匐(ほふく)前進で避難小屋をめざした。
生まれてはじめて味わう自然の猛威。
頭のなかは恐怖以外になにもない。
人間をはるかに超えたパワーの前でできることは
祈ることだった。助けてください、と。
まさにいま自分たちを襲い続ける
暴風そのものが神だった。
足がつって動けなくなり、仲間3人とビバークした。
寒さ、そして睡魔との戦いがつづいた。
歌をうたった。ビンタしあった。
ガスのなかからオレンジ色や黄色いポンチョがあらわれた時、
助かったと思った。
避難小屋を見つけた先行隊が戻ってきたのだ。
「神を見たら人は死ぬ」と旧約聖書に書かれているそうだが、
神よりも、まずまっさきに人が助けにやってきたのだった。

see you tomorrow!


2009年07月18日
Today's Shot
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言葉の風

夜明け前、ヒグラシが鳴く。
薄闇にしみわたるその音色は少しものがなしい。
それもつかの間、
やがて鳥たちの高いさえずりが森も狭しと鳴りひびく。
2、3日前、オニヤンマが音もなくあらわれて横を通り過ぎていった。
こちらがひるむぐらいの見事な体だった。
ナナフシモドキがゆっくりと道を歩いていた。
カラスアゲハは、たいがい2匹で登場し、
ビロード色の羽をはげしく動かして
追走と逃走劇をみせてくれる。
おとといは、
白く乾いた地面に鮮やかな色をしたイモムシがごろりとして、
子どもたちを興奮させていた。
みどり一色の道端では、
ミヤギノハギが一足早く紫の花を咲かせている。
ついさっき、今年初めてミンミンゼミが鳴くのを聞いた。
今日から夏だ。

see you tomorrow!


2009年07月17日
Today's Shot
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言葉の風

三宅一生さんが、米国のInternational Herald Tribune紙にて、
自分が被爆者であることを告白した。そして、
8月6日の広島平和記念式典にオバマ大統領の出席を呼びかけた。
オバマ大統領が「核廃絶宣言」を行ったことが
この行動の契機となったようだ。
何万発もある核爆弾。独裁国家、垂涎の最終兵器。
「核抑止力」という有効性(議論はあるが)。
この現実が人間を絶望的にしている。
核などいらない、正常な人間ならば当然の願い。
一方、核は絶対になくならないという考えが横たわる。
当然のことが不可能であるという事態が人間に虚無を生む。
核兵器という鬼っ子は、人類共通の虚無でもある。
大量殺戮と放射能汚染という環境破壊が
一瞬のうちに行われる。いつでもどこでもそれは起こりうる。
われわれは狂気の時代を生きているのだ。
核廃絶への道のりは、虚無との戦いでもある。
いま、人間は核廃絶の実現を信じることが出来ないかもしれない。
しかし、われわれが正常を維持していくためには
「核兵器廃絶」を繰り返し訴え、
人類の意思の疎通を図っていかなければならないのだ。
核廃絶のメッセージを止めることは、人類の敗北である。
負けたくはない。

see you tomorrow!


2009年07月16日
Today's Shot
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言葉の風

暑い一日。
桜の樹の下におかれたベンチに
おばあちゃんが二人腰を下ろしている。
目の前にはまっしろに乾いたグランド。
そこだけが濃い影を落として涼やかだ。
とぎれない二人の会話。わずかな隙をついて話しかけてみる。
むかしは、こんなに家も人もなかったですよね?
ええ、ええ、みんな山でしたよ。あとは畑だけ。
家なんか、ぽつぽつしかなくて、そら寂しいとこでね。
ほら、そこの散歩道、あそこなんか暗い谷でねえ、
あそこを歩いて歩いて小学校までいったもんです。
いまじゃ、あんなにきれいになっちゃたもんね。
公園に大きな池があるでしょ、むかしはあんなのなかったの。
あのへんは○○さんの家があったんだから・・・。
あら、にいさん、もう昼じゃないかい?
なにいってんのまだ11時だってば! ともうひとりのおばあちゃん。
だってさ、おなかすいてきちゃったよ、わたし。
3人して大笑い。
ここは新しい人が入植してできたニュータウン。
少子高齢化社会がうそのように若い家族が多く住む。
ここにやってきて、ずっと感じてきたのは
やわらかさやあたたかみが少ないこと。
そして荒々しいことだ。
おばあちゃんたちは、89歳と90歳というがぜんぜん元気だ。
こんな若い子に話しかけられてうれしいねえ。
若い子?! 何十年ぶりに言われたのだろう。
楽しいひとときだった。
「ニュータウン」という違和感が少しのあいだ遠のいた。

see you tomorrow!


2009年07月15日
Today's Shot
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言葉の風

さほど込んでない電車の中、
列のむこうのドア付近にうつくしい素足をした少女が
立っている。
そこだけ空気感がちがう。
涼しげなコットンのワンピースにサンダル履き、
ちょっと散歩に出たでもいうようなあっさりとした服装。
黒髪をショートカットにして、化粧っ気もない。
男友達となにやら話をしながら笑顔が絶えない。
かくすべき表情も言葉もそこにはない。
どこか遠い国からやってきた
“日本の少女”ではないかとも思った。
まわりはいつもの電車の中の風景・・・。
重く、くすんだ空気と警戒感。
自分もその空気をつくる一部だ。
少女にはいっさい警戒感がないように思えるが、
その明瞭な表情とリラックスさが
彼女を守っているのかもしれない。

see you tomorrow!


2009年07月14日
Today's Shot
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言葉の風

昨年の秋、毛のような羽のような奇妙なものが
きらきらとしながらツユクサに止まっているのを見た。
犬の抜け毛にしてはあまりにもうつくしい。
指でつまもうとした瞬間、ゆっくりと浮き上がり
障害物をたくみによけながら2、30m飛行し、
木立のなかに消えていった。
奇妙なものと遭遇したなと、思った。
それからほどなくして、偶然、
「ケサランパサラン」という謎の生きものの存在を知った。
 白い繊毛を何本か束ねたような小さな生きもの?で
 宙を飛行する。 植物なのか、動物なのか・・・、
 その正体はわかっていない。
 江戸時代から謎の存在としてその名を呼ばれており、
 白粉(おしろい)をエサにあたえると成長するという。
未知の生物? トンデモ情報?
昨日、近所の林でケサランパサランと再会した。
道端に横たわっていた。捕獲しようとしたが、
またしても浮き上がって宙を渡っていった。
その時、アザミが立ち枯れになっているのが視界に入った。
そばに寄ると萼のような中に白いものがぎっしりつまっている。
取り出してみるとケサランパサランがいっせいに飛び出した。
正体がわかり、ちょっとがっかりしたが、
これでいつでもケサランパサランを
てのひらに乗せて飛行させることができるわけだ。

see you tomorrow!


2009年07月13日
Today's Shot
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言葉の風

朝4:30、散歩道ですれ違う人は、まだまばら。
ほとんど、「おはようございます」のあいさつを交わす。
朝5:30、散歩道に人が増えてくる。
半分ぐらいの人があいさつを交わす。
お互いあいさつをしようかどうしようか、と
逡巡する微妙な時間帯。
朝6:30、散歩道はちょっとしたラッシュ。
ほとんどの人の顔は無表情となり、
道から「おはようございます」の言葉が消える。
言葉を交わすには人の数が多すぎるのだ。
人は、密集すると距離を取りたくなる。
これは自然なことだ。
人との距離が物理的に無理ならば、無関心となる。
人に対して無関心をよそおうというべきか。
朝6:30、無表情で歩く人が、朝4:30に歩けば、
晴れやかな顔であいさつを交わす。
状況が人を変える。
東京で昨日、都議会選挙が行われた。
今後の政局の変化を予告する結果となったようだ。
投票率も前回より10ポイント上回る54.49%となった。
政治への関心が高まったというよりは
政局の変化に期待が高まったのだろう。
状況を変えなければ、人も変わらない。
状況を変えるのはわれわれ自身だ。

see you tomorrow!


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