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2009年10月15日掲載

音楽プロデューサー星川京児のルーツ・ミュージック・コラム このほしのあなたの知らない音楽

vol.3 ヴォイスの超絶技巧 アフリカ、人類の声の原点を聴く

タンザニアの音楽

タンザニアの音楽
KICW-85130(キングレコード)

多種多様な楽器や歌を持つアフリカ・スワヒリの音楽文化。マリンバや弦楽器や太鼓の貴重な録音。

ピアノやヴァイオリンの名手は、聴いて比較できるので何となく判りますが、そんな常識を吹っ飛ばす存在が出てくるのが民族音楽の面白さ。楽器はもちろん、声や手拍子のようなありふれた行為でも、とんでもない名人上手が出てきます。

たった一本の弦しかない琴で、あらゆる音楽を演奏してしまう人が出てくれば、指孔のない笛で見事な楽曲を演奏する。時には、どう見てもただの筒なのに、他の楽器では味わえない音色を吹き出すということも。一本の空き瓶でバッハを吹けば、太鼓の皮の張力を使って他人とお喋りしてしまう、などなど、経験のないものから観ればまさに超人がわさわさいるのが民族音楽。それだけ世界は広い、いや、可能性に満ちていると言えるのではないでしょうか。

アフリカを代表する音楽家の一人が、タンザニアのフクエ・ザウオセ(1940-2003)です。親指ピアノ、地域によってンビラ、イリンバなど様々に呼ばれますが、その巨匠として知られていますが、その最大の凄さは、なんといってもこのゼゼ・カンバ・クミの弾語り。12弦の胡弓とハープを組み合わせたような創作楽器を弾きながら、これまた高音から低音を自由に飛び回る声。加えて唸り声やフューフューと呼ばれるアフリカやアラブ独特の発声。とどめは二つの声を一緒に出す倍音唱法まで駆使し、なんとも形容しがたい、超絶技巧を聴かせてくれるのです。

こんな凄いものを聴いてしまうと、人類の声の原点もアフリカにあったのではないかと、思わず納得させられてしまいそうな説得力。ステージでは、独特のダンスも披露してくれましたから、まさにマルチ芸術家というに相応しい人でした。

晩年は、あのピーター・ゲイブリエルのWOMADにも出演し、2枚のCDも残しています。限りない可能性がそのまま表れた人です。それも自然なままで。一度耳で確かめてください。

星川京児 (民族音楽プロデューサー)

試聴する:ムウェンデケ (ゼゼ・カンバ・クミとカンバ・クナンビリの弾き語り)


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