1. トップ  >
  2. 世界の音楽  >
  3. vol.7 ロシアのポクロフスキー・アンサンブル

2010年4月30日掲載

音楽プロデューサー星川京児のルーツ・ミュージック・コラム このほしのあなたの知らない音楽

vol.7 ロシアのパフォーマンス集団 社会が築いてきた文化の粋をそのまま切り取る

ロシアの歌/ポクロフスキー・アンサンブル

ロシアの歌/ポクロフスキー・アンサンブル
KICW-85065(キングレコード)

ロシアの農民音楽の伝統をわかりやすく現代に蘇らせるために結成されたフォークロア・ムーヴメントの先駆グループの日本公演ライブ。

人が声を発するようになって、というよりも喉をコミュニケートの手段に出来るようになって、次に覚えたのが歌ではないでしょうか。
合唱は、大いなる自然や神に捧げる、共同体の一体感を高めるために発展していったのかもしれませんが、自ら出した歌の最初の聴衆はまず自分だったはずです。メロディやリズムなんか度外視して、喉から出る音そのものに喜びを見いだしたのでしょう。
今でもそういった原初的なパワーを残している歌は世界各地に残されています。大地に語りかける、ささやき歌や山の反響、熱帯雨林の木漏れ日のような響きなど、まず自然との楽しみを模倣した、もしくは楽しんでいるとしか思えない歌があるのです。歌というのは、詞の内容はともかく、人の営みと同じだけあるのかもしれません。

ストラヴィンスキー作品でも知られる、ロシアのポクロフスキー・アンサンブルは既成の合唱団と根底から違うパフォーマンス集団です。もちろん旧ソ連時代から卓越した技術で知られた音楽集団ですから、歌の素晴らしさはいうまでもありません。彼らが違うのは、一つの民謡を再現するのに、まず自らが歌を維持する当事者となることでしょう。笛や太鼓といった楽器はもちろん、ソロからアンサンブルに至るダンスまで、その社会が築いてきた文化の粋を、そのまま切り取ってしまうというものです。

彼らを聴いていると、単なるコーラスではなくて、民謡を生み出した人々の生活の現場に、いきなり投げ込まれたような驚きを味わされます。「葦笛と娘達」も笛の余韻と歌の倍音が、冷気を含んだかの地の空気を感じさせるものです。

それにつけても、ロシアという広大な国には、それに見合うだけ、いやそれ以上の多彩な歌の世界があるのです。

星川京児 (民族音楽プロデューサー)

女性(演奏による)葦笛と娘達(ロシア)


THE WORLD ROOTS MUSIC LIBRARY ダイジェスト盤

「THE WORLD ROOTS MUSIC LIBRARY」ダイジェスト盤を2名様にプレゼント!
>> CDプレゼント詳細はこちら

>> 世界の音楽一覧へ戻る