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2009年11月12日掲載

ドキュメンタリー映画で覚醒する!(後編) 人の謎、世界の真実、生きる勇気−

フィクションだからといって真実を描いていないとはいえないように、ノンフィクションだからといって必ずしも事実を捉えているとはいえない。
ドキュメンタリー映画は、ノンフィクションのはずである。しかし、そこに編集が加われば、なんらかの意図や意思が反映されてしまう。これは、なにも映画にかぎったことではない。表現や作品というものは、なににしても作為の結果なのである。だから、ドキュメンタリー映画というものは、ある主体の目から見た記録だということを頭に入れておいた方がいい。それも強力な主体がなければドキュメンタリー映画など生まれてこない。言葉として、「ニュートラル」という意味の位置はあるかもしれないが、世界に「ニュートラル」という位置は存在しない。また、映されていないところにこそ真実が隠されているかもしれないということと表裏一体で、カメラを意識してその前で変容をしてしまった姿こそ、その人間の本質だったということもあり得る。そうしたことの一切合切を含めてドキュメンタリーなのだと思う。フィクションの鍵は、非日常性をいかにリアルに感じさせるかに尽きるが、ノンフィクションの場合は、突出した日常や、なにかが起きてしまった世界に迫ったものがほとんどだ。ドキュメンタリー映画には、日常から離脱できる快楽や喜びはない。
さて、ドキュメンタリー映画のなにが面白くて、わざわざ観に出かけるのか? 「そこに山があるから」という山男の言葉をもじれば、「そこに未知の世界があるから」ということになるだろう。

今回のドキュメンタリー作品の紹介にあたっては、映画配給を行うアップリンクの全面的な協力を得て、近年とくに話題となったものや反響の高い6作品をピックアップした。 詳細はそれぞれサイトが用意されているので、興味を持った方はぜひそちらも参考にしていただきたい。そして、ぜひ未知の世界の扉を開けてもらいたい。

(文 大島憲治)

アンヴィル!夢を諦めきれない男たち おいしいコーヒーの真実 未来の食卓 彼女の名はサビーヌ ブルーゴールド 狙われた水の真実 無言歌

画像:アンヴィル!夢を諦めきれない男たちアンヴィル!夢を諦めきれない男たち

一度はスターの座に上りつめたこともあったヘヴィメタバンド、アンヴィル。だれもがその才能を賞賛し、パワーあふれるライブに度肝を抜かれた。しかし、アンヴィルは売れなかった。ロック界のメインストリームを駆けていくことができなかったのだ。50歳を過ぎ、かつての少年たちには、輝かしいはずだった未来はもうほとんど残っていない。それほど先があるわけではない。ならばどうする。そう「やるっきゃない、」のだ。彼らの夢はただ一つ、ロックスターになること。週末だけの地元パブのスターではなく、正真正銘のロックスターとなることだ。

列車移動による悲惨極まりないヨーロッパツアーの敢行、罵り合いながらのレコーディング、ロックビジネスの厳しい洗礼も受ける。家族との愛と葛藤もある。現実と夢が火打ち石のように火花を散らす。夢を追うということは現実と格闘することだ、そのことを洗いざらい見せてくれるドキュメンタリー映画だ。

画像:アンヴィル!夢を諦めきれない男たち 画像:アンヴィル!夢を諦めきれない男たち

『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』

  • 監督:サーシャ・ガバシ
  • 出演:アンヴィル、マルコム・ドーズ、ラーズ・ウルリッヒ、スコット・ライアン、レミー、スラッシュ
  • (2009/アメリカ/83min/)
  • 配給・宣伝:アップリンク

公開情報
10月24日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開
公式HP
http://www.uplink.co.jp/anvil/

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画像:おいしいコーヒーの真実おいしいコーヒーの真実

アフリカは飢餓と貧困に苦しんでいる。これは事実だ。コンゴをはじめとする国々で内戦や紛争によって膨大な数の難民がうまれており、彼らは生きることだけで精一杯だ。一方、当たり前のことだが、アフリカには農作物の生産や加工に従事している人たちもたくさんいる。しかし、その労働賃金が驚くほど低い。グローバリズムならでは非情な格差が生じているのだ。自分たちの独自の産業を持ち、価値ある生産物を供給しているにもかかわらず、極貧と食糧危機がその人たちを苦しめている。

そのひとつの象徴が、コーヒー産業であり、豆を生産するエチオピアのコーヒー農家での過酷な状況だ。カフェで出されるコーヒー価格のわずか1〜3%程度の利益しか農家には入ってこない。これを是正しようと立ち上がった人物がいた。エチオピア人のタデッセ・メスケラだ。カメラはメスケラ氏を追いかけ、世界中を飛びまわる。スタバなどの巨大コーヒー企業への突撃取材も敢行する。

ここから浮かび上がってくる「真実」は、決して遠い世界の話ではない。それをまず知ることだ。

画像:おいしいコーヒーの真実 画像:おいしいコーヒーの真実

『おいしいコーヒーの真実』

  • 監督:マーク・フレンシス、ニック・フランシス
  • 出演:タデッセ・メスケラ、他
  • (2006/78分/イギリス、アメリカ)
  • 配給: アップリンク

公式HP
http://www.uplink.co.jp/oishiicoffee/

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